難付着サイディングの外壁塗装

難付着サイディングとは2001年以降から建物の外壁材として使わるようになった窯業系サイディングボードです。

一般住宅の外壁材として多く使われているサイディングですが、2000年までの窯業系サイディングの場合、新築から最初の塗り替え推奨時期は10~13年といわれています。一方、難付着サイディングは耐候性が非常に高く、最初の塗装推奨時期が15年~20年と耐用年数が飛躍的に向上しました。

※1回目の塗装推奨時期については各メーカーによる目安期間です。塗装しなくても劣化しないという保証期間ではありません。

窯業系サイディングとは

窯業系サイディング(ボード)はセメント質及び繊維質の原料を成型した外壁材です。
耐火性・耐震性に優れ一般住宅の外壁材の多くに窯業系サイディングが使用されています。

デザイン性に優れタイル調・レンガ調など形状デザインも豊富で、単色から多彩色まで色調も幅広いバリエーションがラインナップされています。また、外壁材の中では比較的施工費(材料費)が安いので、張り替えなどのリフォーム工事にも適しています。

難付着サイディングのメリット

難付着サイディングのメリットは優れた防汚機能と耐候性の高さです。
サイディング表面に光触媒、フッ素、無機(セラミック)など親水性の高い塗膜加工が施されているので汚れが定着しにくく、水垢、カビ、苔などの汚染定着による美観低下が長期間発生しません。

難付着サイディング表面の防汚機能は、汚れが付着しにくい、付着しても雨水と一緒に浮かし流すセルフクリーニング効果によるものです。また、紫外線による劣化にも強く、色あせ、艶引け(光沢減退)しにくいため新築時の美しさを長期間維持できます。

難付着サイディングのデメリット

難付着サイディングのデメリットは、1回目の塗り替え工事の際、一般的な塗料では密着しにくいという点です。

表面に特殊なコーティング加工が施されているため汚染物質が付着(定着)しにくいと前述しましたが、汚染が定着しにくいということは新規の塗料も定着しにくいということになります。
全く付着しないということではなく、いったん付着しても早い時期に塗膜剥離を起こす可能性が高いということになります。

難付着サイディングについての知識を持ち合わせていない業者が、通常のサイディングと同じ仕様で塗装を行ってしまうと施工後早い時期に塗膜剥離が発生する可能性があります。

難付着サイディングのメンテナンス時期

機能性・耐候性に優れる難付着サイディングですが、定期的なメンテナンスは必要です。
表面の特殊加工は製造時の塗装によるコーティングですので、メンテナンスの方法は外壁塗装の塗り替えです。

開発2001年以降から数えると2024年現在では23年が経過している状況ですので、1回目の外壁塗装が推奨される時期を見過ごしている方も多いかもしれません。

塗り替え工事を検討する際、外壁塗装工事を取り扱う業者に点検・見積もりを依頼する流れになりますが、適切なメンテナンスを行うために点検調査の時点で使用されている外壁材が難付着サイディングかどうかを判断する必要があります。

難付着サイディングの見分け方

チョーキング現象の有無(程度)

サイディング表面のチョーキング現象の確認を行います。

※チョーキング現象とは外壁材を手でこすった際に、劣化した塗膜の粉がチョークを触った時のように手に付く現象です。

チョーキング現象が発生している住宅のサイディングボード外壁

難付着でないサイディングの場合、新築から10~13年を目安にチョーキング現象が発生します。

チョーキング現象が発生していない住宅の難付着サイディングボード外壁

難付着サイディングの場合、新築から15年(目安)経過してもチョーキング現象は発生しません。

光沢・艶度の確認

艶あり仕上げの難付着サイディングの場合、光沢(艶)が15年(目安)経過してもほとんど減退しません。紫外線による劣化が顕著な建物南面を中心に、表面の光沢がどの程度維持されているかどうかを確認します。

以下画像はハギシン塗装が依然外壁塗装を施工させていただいた物件です。使用されている外壁材は、新築から17年経過している難付着サイディング(ダイワハウスのDCウォール)です。(見積もり点検時の画像)
画像では伝わりにくいかもわかりませんが、築17年経過しても塗膜の光沢(艶)が目で見てはっきりと残っています。

新築から17年目の難付着サイディング外壁の南面

新築から17年目の難付着サイディング外壁

図面の仕様書で確認する

新築図面の仕様書(添付/別紙)に外壁材の商品名、色調、品番などの情報が記載されていますのでインターネット検索などで塗装(塗り替え)に関する情報を調べます。

外壁材の商品名で検索する場合、《商品名 外壁塗装》《商品名 塗り替え》など塗装をキーワードに含めることで、塗り替え工事の前例記事が多くヒットします。

以下画像は上記住宅の建築仕様書です。
ダイワハウスのDCウォールという外壁材は、塗装業界では認知度の高い無機系仕上げの難付着サイディングです。

難付着サイディングDCウォールの施工仕様書

難付着サイディングの確認方法は前述の現地点検を行ったうえで、仕様書に記載されている外壁材商品名から塗装に関する情報を得ることでより明確になります。

《メーカー 商品名 外壁塗装》(例:ダイワハウス DCウォール 外壁塗装)
《メーカー 商品名 塗り替え》(例:ダイワハウス DCウォール 塗り替え)
などの塗装と紐づけたキーワード検索を行うことで難付着サイディングを含む多くの情報を得ることができます。

サイディングボードのメーカーサイトでは再塗装(塗り替え)に関する情報は掲載されていません。
塗装業者のホームページなど実際の施工事例記事を参考にすることで、適した塗料名、施工手順など具体的な情報を得ることができます。

強溶剤系シンナーでのふき取り検査
(非推奨)

強溶剤系シンナーをウエス(布等)にしみこませ、サイディング表面の目立たない部分をふき取り、既存塗膜が溶けないかどうか?を検証するふき取り検査も一つの方法と言われています。

難付着サイディングの塗膜面は、ラッカーシンナーなど溶解力の高いシンナーでこすっても塗膜が溶けないという見解もあるようですが、そのような見解には全く信ぴょう性がありません。
実際には表面を数回こすっただけで簡単に既存塗膜が溶けてしまう場合がありますので、強溶剤シンナーでのふき取り検査は判断基準になりません。

強溶剤系ラッカーシンナーとウエス

契約を前提としない無料点検や見積もり点検の時点でふき取り検査を行い、既存の塗膜が剥がれてしまった場合、元通りに復旧できないなどのトラブルに発展します。

難付着サイディングの外壁塗装

難付着サイディングの塗装工程と通常の塗装工程の違いは、外壁材に直接塗布する下塗り塗料の使い分けです。

幅広く使用できる汎用塗料ではなく。光触媒、無機系コーティング対応の下塗り塗料を1層目に施工すれば、2層目以降の仕上げ塗装は通常のシリコン塗料、フッ素塗料などで施工することが可能です。

塗装工程は通常と同じ手順ですので、以下の知識があれば施工不良が起こる心配はありません。

難付着サイディングに通常の下塗り塗料は適切ではない

難付着サイディング対応の下塗り塗料を把握している

難付着サイディングと通常サイディングの違いを判断できる

難付着サイディングの外壁塗装は塗装業者の知識量によって施工品質が大きく左右されます。

難付着サイディングに対応している下塗り塗料一覧

塗装業者によってメインで利用するメーカーは異なりますが、難付着サイディングの外壁塗装で使用するべき下塗り塗料は、多くの塗料メーカーで取り扱いがあります。
以下は国内大手塗料メーカーから発売されている難付着サイディング対応の下塗り塗料一覧です。
「WEBカタログを見る(PDF)」をクリックorタップで各社の製品カタログがご覧いただけます。

難付着サイディング対応下塗り塗料
(国内塗料メーカー)

エスケーハイブリッドシーラーEPO
(エスケー化研)
エスケーハイブリッドシーラーEPOの
WEBカタログを見る(PDF)

ファインパーフェクトシーラー
(日本ペイント)
ファインパーフェクトシーラーの
WEBカタログを見る(PDF)

アレスダイナミックシーラーマイルド
(関西ペイント)
アレスダイナミックシーラーマイルドの
WEBカタログを見る(PDF)

ハイパーシーラーエポ
(ロックペイント)
ハイパーシーラーエポの
WEBカタログを見る(PDF)

WBグリップシーラーEPO
(スズカファイン)
WBグリップシーラーEPOの
WEBカタログを見る(PDF)

キクスイSPパワーシーラー
(菊水化学工業)
キクスイSPパワーシーラーの
WEBカタログを見る(PDF)

外壁材が難付着サイディングの建物でも、塗装仕上げの軒天・破風板・幕板(帯板)など付帯部の塗装(塗膜)は劣化しているケースがほとんどです。また、塗装仕上げの屋根(カラーベストなど)は外壁より劣化の進行が早い環境下にあります。
建物を健全に維持するためには、外壁以外の塗装メンテナンスも大切です。
今回ご紹介した難付着サイディングに対応した塗り替えプランで定期的な塗装塗り替えをご検討ください。