塩ビ鋼板の塗装|専用下塗り材ビニタイトプライマー

塩ビ鋼板(塩化ビニル鋼板)は原板となる亜鉛メッキ鋼板などに軟質塩化ビニルをコーティングした建材で、住宅などの一般建築物内外装で幅広く用いられています。

塩ビ鋼板は耐候性が高く腐食しにくい建材なので、建物の外壁材や屋根材をはじめ、軒天、破風板(はふいた)、鼻隠し、幕板、シャッターボックス、水切り、庇などの外装用の建材として多く使用されています。
同じ金属系建材として使用するトタン板金などは塗装でコーティングしてあるカラー鋼板(塗装鋼板)という種類の建材です。

塗装塗り替え工事の現場でも施工対象になる塩ビ鋼板塗装は、カラー鋼板や鉄骨など、通常の金属塗装と同じ仕様で施工すると不具合が起こるので注意が必要です。

戸建て住宅の塩ビ鋼板材質のシャッターボックス

塩ビ鋼板塗装の注意点はブリード現象

塩ビ鋼板に使用される軟質塩化ビニルには、柔軟性を保つための可塑剤(かそざい)が多く含まれているため、通常の塗り替え工事で使用する弱溶剤塗料を塗装すると塗膜表面に可塑剤が移行するブリードという現象が発生します。

ブリード現象が起こった塗膜の表面は、粘着テープの接着面を触った時のようなネバネバ感がいつまでも乾かない状態になります。
ブリード現象が発生してしまうと、粘着成分への汚染定着で美観を損ねるほか、耐久年数の低下や塗膜剥離などの不具合が起こる可能性が極めて高くなります。

塩ビ鋼板専用下塗り材ビニタイトプライマー

塩ビ鋼板に塗装する際は、塩ビ鋼板用の下塗り材ビニタイトプライマーを塗布することで、仕上げ工程の中塗り・上塗りは通常の弱溶剤塗料を塗装することが可能です。

ビニタイトプライマーは、主剤と硬化剤を混ぜて使用する2液硬化型塗料です。希釈剤はウレタンシンナーを使用する強溶剤という種類の塗料で軟質塩ビの可塑剤表面移行を抑制することができます。

注意点として、ビニタイトプライマーは錆止め塗料ではありませんので、塗装下地に錆が見られる場合は、ビニタイトプライマーを塗布する前に強溶剤系の錆止め塗料を先行塗りする必要があります。

そもそも塩ビ鋼板は塩化ビニルで覆われた被覆建材ですので、錆を抑制する塗料をビニルフィルムの上に塗布しても意味がありません。錆びが見られない下地への施工は、可塑剤(かそざい)の表面移行対策としてビニタイトプライマーの塗布後、通常の中塗り塗装・上塗り塗装で仕上げます。

塩ビ鋼板専用下塗り塗料ビニタイトプライマーと希釈剤

塩ビ鋼板の見分け方

塩ビ鋼板は鋼板の上から塩化ビニルが被覆されているので、トタン(カラー鋼板)などの薄鋼板より厚みがあります。とはいえ、建築関係に携わっていない方では的確な判断が難しいかもわかりません。

多くの塩ビ鋼板には、表面にエンボス調の凸凹模様が見られることが多く、また、指でたたくと金属音がトタンより鈍く聞こえます。表面が塩ビ被膜でコーティングされているので、極端に劣化していない場合は、磁石がつかないなど確認方法は様々ですが、塩ビ鋼板の知識さえあればカラー鋼板と区別できなということはないと思います。

カラー鋼板(シャッターボックス)

以下の画像はカラー鋼板製シャッターボックスの材質を徐々に拡大した画像です。

戸建て住宅のカラー鋼板製のシャッターボックス

カラー鋼板製のシャッターボックスです。いわゆる鉄板という感じのフラットな質感です。

戸建て住宅のカラー鋼板製シャッターボックスの拡大画像

同じ製品を少し拡大してみますが。質感はあくまでフラットな見え方だと思います。

戸建て住宅のカラー鋼板製シャッターボックス材質の拡大画像

かなり近距離で撮影しています。これだけ近距離で見ても材質の質感はやはりフラットです。

塩ビ鋼板(シャッターボックス)

以下の画像は塩ビ鋼板製シャッターボックスの材質を徐々に拡大した画像です。

戸建て住宅の塩ビ鋼板製のシャッターボックス

塩ビ鋼板製のシャッターボックスです。離れてみている状態ではカラー鋼板と区別がつきません。

戸建て住宅の塩ビ鋼板製シャッターボックスの拡大画像

同じ製品を少し拡大してみると質感の厚みとエンボス調の凸凹模様がある程度確認できます。

戸建て住宅の塩ビ鋼板製シャッターボックス材質の拡大画像

かなり近い距離で見てみると、塩ビ鋼板特有のエンボス模様がはっきりと確認できます。

塩ビ鋼板被膜の剥離

塩ビ鋼板の耐用年数は15~20年といわれるくらい耐候性の高い建材ですが、耐候性が著しく低下すると、コーティングされている塩化ビニルが基材の鋼板から剥離してしまうこともあり、露出している鋼板下地に対する錆止め塗料の先行塗りが必要となります。

戸建て住宅の塩ビ鋼板材質のシャッターボックス

ビニタイトプライマーの塗装料金

ビニタイトプライマーは、通常の外壁塗装や屋根塗装で使用する下塗り塗料より高額な傾向にあります。
下塗り塗料の仕入れ価格の差額が施工料金に反映しますので、一般的な下塗り(錆止め)塗装より施工料金が若干高くなります。

塩ビ鋼板下塗り塗料:塩ビ鋼板改修用ビニタイトプライマー
施工単価:1㎡あたり880円(税込み)

戸建て住宅の塩ビ鋼板製のシャッターボックスにビニタイトプライマーを塗布している状況

塩ビ鋼板改修用下塗り材ビニタイトプライマーと製品名称

製品概要|ビニタイトプライマー

一般名称 塩ビ鋼板屋根改修用プライマー
主要構成成分 特殊変性ウレタン樹脂
適用下地 塩ビ鋼板
希釈 ウレタンシンナー(強溶剤)
塗装色 白・グレー
塗料メーカー エスケー化研(株)

メーカーリンク